シミ、あざ、黒子の治療

赤アザ(単純性血管腫)、毛細血管拡張症、苺状血管腫の治療
  V.Beamレーザーを使用して治療
皮膚の毛細血管が拡張(ふくらんで)して、流れている血液が皮膚表面より透けて見える状態で全体として赤い、区別は、
 1.単純性血管腫…全体が赤く、境界がはっきりしている。
 2.毛細血管拡張症…線状に赤くなっている。
 3.苺状血管腫…イチゴを半分に切って貼り付けたように赤く盛り上がっている。
 4.赤ら顔…全体に赤いが境界がはっきりしない。

 
V.Beamレーザーは従来のレーザー(SPTL-La、B-1)と異なり
 1.照射エネルギーが高い 20j/cm2
 2.照射時間が可変 1.5msec〜40msec まで
 3.冷却剤を吹き付けて皮膚を保護する
の長所があり、照射後水疱形成(水ぶくれ)、痂皮(カサブタ)にはならず、従来効果が低かった血管腫や毛細血管拡張症の患者にも有効です。レーザー照射後はすぐに化粧できますが、従来のレーザー同様単純性血管腫では、朱肉の様な発赤が2〜3週間残ります。毛細血管拡張症ではややほんのり赤くなる程度です。
発赤や紫斑が気になる人にはコンシーラー(シミ隠し)を準備して有ります。
苺状血管腫は、従来は放置して自然消退を待っていましたが、一度隆起した所は瘢痕化したりして目立つため生後数ヶ月で盛り上がりかけた所でレーザー照射して血管腫を消退させます。
V.Beamレーザー画像
   
赤ら顔の治療
  飲酒すると赤くなるとか、寒い所から暖かい所に行くと赤くなるなどの場合は治療できません。常時赤く、単純性血管腫と異なり境目がはっきりしないものについて治療しますが、効果は治療してみないとわかりません。VBeamレーザーで効果が出ない場合はG-YAGレーザーを用いて治療します。GYAGレーザーはVBeamレーザーより高出力(20→200j/cm2)なので効果が期待できます。

治療法
太田母斑、異所性蒙古斑、刺青の治療 
  太田母斑異所性蒙古斑はQスイッチアレキサンドライトレーザーを用いて、2〜3ヶ月間隔で部位にもよりますが、4〜8回の照射で改善します。
 刺青の場合単純に線だけ、又は黒色のみのものは数回の治療で効果が出ますが、材料に外国性の染料を用いたり多色(赤緑黄etc)の場合は金属性の成分が入っているので効果が出ない場合があります。従来はQスイッチアレキサンドライトレーザーを使用しましたがQスイッチアレキサンドライトレーザーやルビーレーザーでは効果が出ない刺青の除去にさらに有効なQスイッチYAGレーザーを導入しました。他の医療機関でのレーザー治療で効果が無い場合に検討してみて下さい。QスイッチYAGレーザーでは2種類のレーザー光〈波長1064nmと532nm〉を選択して使用できます。
 波長1064nmのレーザー光は暗色(黒/青)の色素性病変や黒系の刺青インクの蒸散除去に適しています。
 波長532nmのレーザー光はメラニン色素性病変や赤系の刺青インクの蒸散除去に適しています。
 このレーザーによる治療の欠点は出血する事と痛みが強い事です。又強い出力では瘢痕になるので弱い出力で数回照射して徐々に改善させる場合もあります。治療時に局所麻酔とか範囲が大きい場合は静脈麻酔を用いて治療します。
 いずれにしても初診料、再診料で部分的にテストして有効な場合レーザー治療しますが、効果のない場合は手術(切除、切除十植皮)を行ないます。



茶アザ、黒アザの治療
  茶アザにはQスイッチアレキサンドライトレーザーを用いて治療します。レーザー照射後カサブタになり7〜10日でカサブタが取れ、その時有効かどうかわかります。1ケ月位で再発又は増悪する場合もありますが、何度か照射していると薄くなります。Q-YAGレーザーも使用しています。
黒アザは従来のQスイッチレーザー単独の治療では効果が無く、脱毛レーザーやer-YAGレーザーを用いて表皮を除去後Qスイッチレーザーを照射しています。

イボ、黒子の治療
  この度er-YAGレーザーを導入しました。このレーザーの特徴は炭酸ガスレーザーに比べて水分の吸収が13倍の為レーザー照射した時組織が蒸散(蒸発して無くなる)し、その下に生じる凝個層が非常に薄く周囲組織への熱ダメージが少なく、メスを使ったような結果です。従来炭酸ガスレーザーによるイボ、黒子治療では皮膚が焼ける為予想以上にえぐれたり、治療後の発赤や色素沈着が半年以上も続く事が有りました。Er-YAGレーザーの治療は皮膚が焼けず、まるで剃刀で削いだ様な状態になる為治療後7〜10日で傷が治ります。又治療後の発赤や色素沈着が有りません。
症例は脂漏性角化症の治療前と治療後1ヶ月と、黒子の治療前後です。
 
脂漏性角化症の治療前の写真
脂漏性角化症の治療前
脂漏性角化症の治療後1ヶ月の写真
脂漏性角化症の治療後1ヶ月
黒子の治療前の写真
黒子の治療前
黒子の治療後の写真
黒子の治療後
  脂漏性角化症では盛り上がりが無くなり照射後の発赤も有りません。黒子も綺麗に取れています。
盛り上がったイボや黒子はer−YAGレーザーを用いて平坦にして色素が残る場合はQスイッチレーザーを追加照射しています。

シミの治療
  シミの治療には外用剤(塗り薬)によるものとレーザー治療があります。
 
1. 外用剤による治療
一般に範囲が広く薄汚れてくすんだ様な境界のはっきりしない薄いシミには外用剤を用いて治療します。外用剤にはハイドロキノン単独と、トレチノイン(ビタミンA類似物)の併用があり5%ハイドロキノン、オバジーニューダームシステム、メラフェード、アダパレンを使用します。ハイドロキノンはメラニン色素の合成を阻害してシミを出なくさせるので、レーザー治療後の再発予防に使用するには良いが現在あるシミを薄くさせる効果は低いようです。トレチノインはピーリングとは異なり皮膚の新陳代謝を促進させてシミを排出させるので日焼けして皮膚がむけて赤くなる状態が1ヶ月位続きます。薬剤の使用量により程度は異なりますが反応が無ければ効果はありません。オバジーニューダームシステムは色白の皮膚、メラフェードは肌色の皮膚を目標に使用します。使用期間は1〜3ヶ月かかります。
2. レーザーによる治療
レーザーによる治療ではシミの種類により使用する機械が異なります。 
顔のシミは大きく分けると境目がはっきりして円形のものと境目がはっきりせず形も地図状でかつ色調が薄いものがあります。
   前者には盛り上がりの有るものと平坦なものがあり、盛り上がりの有るものはer-YAGレーザーで平坦にします。それでも色素が残る場合はQスィッチレーザー照射を併用します。平坦な物はQスイッチレーザー照射によりカサブタになり7〜10日でカサブタが剥がれます。治療後に化粧はできますが、カサブタは色調が濃いのでコンシーラーを塗ってカバーしてもらっています。手持ちのコンシーラー(シミ隠し)が無ければ当医院に準備して有ります。
 後者で頬の部分に左右対称に生じたものを一般に肝班と呼んでいます。この様なシミはレーザー治療によってかえって増悪し、初めから治療しない医療機関もあります。希望がある場合は部分的にテストします。当院では肝斑治療にV.Beamレーザー、脱毛(アレキサンドライト)レーザー照射をしてきました。Qスイッチレーザー治療と異なり皮膚を冷却してレーザー照射するため、照射後の発赤水疱形成、カサブタ形成等はありませんのですぐに化粧が出来日常生活に支障が無いのが利点ですが反面、従来のQスイッチレーザーの様に、カサブタが取れてシミが取れるという劇的な変化はなく、数回行なうと徐々に薄くなってきます。この治療でシミはスッピンだけど、化粧している位まで目立たない状態に改善しますが、さらなる改善を希望する場合は外用剤治療になります。
 

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